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グリコ

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井上雄彦 最後のマンガ展

井上雄彦 最後のマンガ展に行ってきた。
美術館のサイトはこちら

これ、ものすごーくオススメ!!

この展示は、バガボンドの延長にあるお話の原画を、
順路に沿って見ていくというもの。
最後までみると、ひとつのお話が完結する。

以下ネタバレありなので、ご注意を。
井上雄彦 最後のマンガ展_a0090131_425939.jpg


館内は、6つの部屋に区分けされていて、それぞれの空間で
テーマを持った演出がなされている。

原画をただ見せるだけではない。
壁で読み、空間で読み、描かれる世界を"体験する"。
まったく新しいマンガの読み方。

読む人に感じてもらうために、どのようなサイズの画が、
どのタイミングで見れると良いか。
画と画の間隔、ルートの構成、ライトの使い方、細部まで本当に細かく
配慮されている。美術館の中全部が作品になっているという斬新な企画。
これは紙面では絶対に味わえない感覚。
その場にいることの重要性。
ライブに似ている。
だから、実際に会場に行ってもらいたい。

こうした見せ方だけでなく、公開されているストーリーも、
重みのある心に残る内容。
なにせ、そこに描かれているのは、宮本武蔵の"死"について、だ。
死に向かう人間の有様。
死とは何か?
死に何を感じるか?
まだ連載中のバガボンドが最後にたどり着くその場所。
それが描かれている。
言葉は必要最低限。
視覚からの情報で、自分の頭で考える。想像する。
井上先生のアプローチ方法。
言葉を付けると、それがひとつの解釈を示してしまい、
押し付けになってしまう。
そう、井上先生はインタビューで言っていた。
確かにそうかもしれない。
感覚を言葉に置き換えてしまうと、それは誰かが一度そのように体験した
結果となってしまう。感じ方を強制されてしまう。
この個展の素晴らしさを、文字で伝えようとしている自分の行為に矛盾
するけど、井上先生のこの考えには、共感する。
言葉に対しての考えとして作品中で伝えられたこと。
「言葉は海に似ている。底にあるものは潜ってみないとわからない」
「強さ。それはただの言葉だ」
言葉は、表面だけでは意味を成し得ない。
言葉は、実態を伴うことで初めてその意味に魂が宿る。
そう解釈した。
こうして考えさせられたところに、感動した。
また、死にゆく武蔵が最後に欲しいと思ったもの、それが自分の視界に
入ってきた瞬間、「そうだよ!」って思って、共感した。
最後の最後に海の風景が描かれているけど、最小限のタッチで見事に
海の全貌が伝わってきて、そこに吹く風さえも感じられるようで、
この最後の光景が一番好きだと思った。
そして、井上先生の作品に垣間見れる、ちょっとした笑いの心遣い。
もれなく今回の作品にも絶妙のバランスで混ぜれらていて、嬉しかった。

感じること。
今回の展示ではこれがテーマになっているけど、
まさに感じたすべてに感動を覚えた。

井上先生が、開催日当日の朝3時までかかって書き上げた
3メートルサイズのパネルの画。
これが、今回の展示で我々が一番最初に目にする画になっている。
ものすごい迫力。
感じるはず。

井上雄彦 最後のマンガ展_a0090131_42549100.jpg

ちなみに、物販では、作品の準備時の写真や解説や関係者インタビュー
など収めた図録を中心に、井上先生の作品が販売されている。
すべて中身の閲覧可能。
思わず、SLAM DUNKの最後の山王戦を立ち読みしてしまった。
1ページめくってはウルウルし、1ページめくっては吹き出して、
読んでいる間、おかしな人になってしまった。
特に、ゴリが試合中に泣くシーンがあるんだけど、これがやばかった。
SLAM DUNK、おそるべし。。
by gogrico | 2008-05-31 04:26 | ■art
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